クールな彼女はとても弱くて・・・
作者:A's
俺には
好きな人がいる。
強そうだけど、
とても弱い。
そんな、守ってあげたく
なるような女の子。
*・*・・・*・・・*・*
俺、大倉タカト。
中学3年生。
俺には
好きな人がいる。
安村マナ。
同じ中学3年生で
モデルをしている、
とてもかっこいい女の子(外見は)。
マナとは隣の席で
近くにいるうちに
スキになっていった。
なんでマナのことを
すきになっていったかって?
じゃあ、マナの話を
少しだけ・・・
*。・ 安村マナ ・。*
リン「マナ!
これ受けてみなよ!」
マナ「ニコラモデルオーディション?
いや、私なんかが無理だよー!」
リン「でも、マナ美人だし、
スタイルいいから
なれると思うんだけどなぁ」
マナ「そ、そうかなー?
リンがそこまで言うなら、
受けてみようかな」
リン「うん!
その調子だよ!」
そう、親友の
高田リンに言われて、
オーディションを
受けたらしい。
あ、俺とリンは幼なじみで
この話はリンから
こっそり聞いたんだ。
それから、マナは
雑誌の撮影がはじまって
編集部さんに
こういわれたらしい。
「マナちゃんは
元気すぎで
うるさいくらいだね!笑」
って。
そう言われてマナは
こう思ったそうだ。
『せっかくニコモに
なったんだし、
もっとクールになろう』
って。
これはこっそりマナから
きいたんだけど。
俺以外は
誰も知らない秘密。
それから、マナは
色んな人に
【塩対応】をし始めた。
それは、
見てただけで分かる。
だって、明らかに
前のマナじゃなかったから。
全然明るくない。
まるでマナみたいじゃ
なかった。
でも、そのマナも
かっこよかった。
そして、クラスメイトの
池クルミがリンに
こんなことを言った。
クルミ「マナ、モデルになって
調子乗ってんじゃない?
最近、みんなに冷たいし」
リン「そんなこと
ないと思うけど?」
クルミ「もうさ、
マナのこと無視しない?
やらないと承知しないからね」
リン「う、うん」
って感じに
話したらしい。
昔から池は
クラスの中心人物で、
逆らうことは
難しい人だった。
それから、マナへの
【塩すぎ対応】が始まった。
*。・ 現在 ・。*
元のマナに戻って
欲しいと思った俺は、
思い切って声をかけて
みることにした。
隣の席という立場を
利用して。
タカト「なぁ安村。
お前、最近
冷たくねぇか?」
マナ「そんなこと
ないと思うけど」
そうマナは言った。
けれど、目が完全に違った。
「助けて。
元の明るいキャラに
戻りたい」
そう訴えているように
見えた。
タカト「そうか?
でも、俺は安村に
明るくなって欲しいけどな。
まぁ、今の安村も
嫌いじゃないけど」
マナ「えっ? ・・・でも、
そう簡単には
戻れないんだよ・・・」
勘違いかもしれないが
マナは少しだけ俺に
心を開いてくれた気がした。
悲しい声で、今にも
泣きそうな声で
話してくれたから。
クルミ「ねぇコレ見て!
マナが出てる雑誌。
学校よりめっちゃ
きらきらしてるじゃん!」
リン「そ、そうだね。
マナ、最近元気ないもん」
クルミ「ほんっとリンは
人がいいんだから。
マナが悪いんだから
仕方ないでしょ?」
リン「・・・」
どうやら女子たちが
マナの出ている雑誌をみて
話しているらしい。
こういう時、
俺が声を出せば
いいのだろうけど・・・
俺も妹が買っている
マナの出ている雑誌を
チラッと見たことがある。
そのマナは・・・
とても輝いていた。
まるで、別人だった。
そのマナをみて、
俺はまた、マナに
惹かれていった。
でも、内心思っている。
「芸能人と
付き合うことなんて
できない」と。
「マナはモデルに専念するため、
恋愛なんかしないのではないか」と。
けれど、なぜだか
諦められない。
今回だけは、マナと
付き合・・・
マナを助けたいと
どうしても思うのだ。
クルミ「てかさー。
マナの学校でのことさ
マナファンに伝えない?
ファンは全てを
知りたいだろうし・・・笑」
女子「それいーね!」
リン「さすがにそれは
良くないよ。
芸能人にもプライベートは
あるからさぁ」
また、池が何かを
企んでいるらしい。
こんなことを言われて、
されて、
マナは大丈夫なのだろうか?
このままじゃモデルの仕事にも
支障が出そうだ。
マナの表情を見てみると、
青かった。
タカト「安村、大丈夫か?」
マナ「う、うん。
大丈夫だよ」
タカト「少なくとも俺には
大丈夫そうに
見えないけどな」
マナ「えっ?」
タカト「いや、マナは
顔色悪いからさ」
マナ「大丈夫だよ」
マナはそう言った。
けれど、明らかに
大丈夫そうではなかった。
本当に心配で仕方ない。
そして、また池たちが
話し始める。
クルミ「うち、帰ったら
Twitterで呟くわー!
みんなも協力してよね!」
女子「おkー」
リン「や、やめようよ!」
リンが必死に反対する。
が、池たちは
聞く耳を持たない。
ダメだ・・・
そう思うだけ。
だった、
今までの俺は。
タカト「やめろよ!
安村、可哀想だろ!」
マナ「えっ?」
クルミ「は?
何も知らないくせに
言うんじゃないわよ!」
タカト「知ってる!
安村のこと。
一見クールだけど・・・
けど、弱いんだよ!
お前らこそ
知らないんだろ!」
クルミ「くっ! 何よ!」
マナ「うっ」
タカト「安村!」
マナが教室から
出ていった。
俺は・・・
追いかける。
タカト「おい!
安村! 待てよ!」
マナ「ハアハアハア」
タカト「お前、
なんで逃げるんだよ」
マナ「なんでって?
怖いからだよ!」
タカト「怖い?」
マナ「学校来たら、
みんな私の話をしてる。
みんな冷たい目で見る。
私が・・・私が悪いのに・・・
モデルになんか
ならなきゃよかった」
(タカトがマナを抱きしめる)
マナ「えっ」
タカト「怖いなら、
怖いって言ってくれれば
よかったのに。
俺が守ったのに。
今まで何もしてやれなくて
ゴメンな」
マナ「違う!
そんなことないよ。
いつも、タカトくんの言葉に
励まされてたから」
タカト「俺はただ・・・
守りたいだけなんだよ」
マナ「ありがとう。うっ」
タカト「俺、安村のこと
誰より守れる人になりたくて。
安村のことどんどん
好きになっていって」
マナ「えっ?」
タカト「でも、安村は
芸能人だから
叶わないと思ってる。
でも、諦められないんだよ」
マナ「・・・私
そういうところ好き」
タカト「今なんて?」
マナ「私、芸能人だけど、
全然子供だから」
タカト「フッ。
俺と付き合ってください」
マナ「はい」
絶対叶わないと
思っていた恋。
でも、君は思っていたより
子供で、弱くて・・・
2人の恋は
始まったばかり・・・
*end*
大倉 空人
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